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人は、災害など自身に被害が予想される場合に
根拠もなく「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」と考えてしまいます。
これは心理学的にも言われる、
人間の特性でもある【正常性バイアス】といいます。
そう考えることで心が過剰に反応し疲弊しないよう、心の平穏を保っています。
正常性バイアスは、災害だけでなく、病気や事故など、
自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりすることで
逃げ遅れの原因になったり、二次災害につながる恐れがあります。
自分自身を守る、災害への備えはできていますか?
小さな子どもがいないと、防災への備えについては手薄になりがちですが、
いざ、被災してしまうと、準備があるのとないのとではストレスの差が大きいと思います。
また、2〜30代と違って体力の衰えもあり、体調の崩しやすさもあることでしょう。
そのため、60代以降の被災生活では健康上の問題、精神衛生の問題などさまざまな問題が起こります。
この記事でわかることは
となっています。
医療福祉分野で働く筆者が、60代以降に特に気をつけたい防災の知識をまとめています。
備えておくことで、予防できるものがいっぱいありますので、ぜひ参考にしてみてください。
【60代からの防災】日頃からできる災害への必要な備え

家族で話そう災害時の避難先や待ち合わせ時の確認
災害時には家族が全員揃っているとは限りません。
スマホなどの通信機器も使える保証はありません。
災害時には〇〇学校や〇〇公園で会おう!と話す方も多いと思います。
実はそれだけでは不十分なのです。
実際に被災したからは

避難所で約束していたんだけどなかなか会えなかった。あとから聞くと向こうも探していたようで、何度も入れ違いになっていた
との声もあります。
そのため家族と避難所等で待ち合わせする場合には、時間帯と細かい場所を決めておくことが必要です。
時間を決めておくことで、待ち合わせ時間以外で、
探しにいくこともできるし、自宅に必要なものを取りにいくこともできます。
学校の東玄関・西玄関、公園のトイレ前、駐車場入り口など細かい場所を決めるだけでも
探し回らなくて済むので
災害時に大切な体力を無駄に奪われずに済みます。
また、電話などの通信機器が使えないことも想定して、家族だけがわかるようなメモの残し方を話し合っておくことも重要です。



我が家は、倉庫の中の壁にメモを貼るという方法を取りました。
考えてみよう「3段階」で備える防災グッズ
0次の備え【防災ポーチ】
防災ポーチは、仕事や外出先でも常に持ち歩く、最低限を小さくまとめておいた簡単な防災グッズです。
災害時だけでなく、急な体調不良などにも日常でも対応できるような中身になっています。
防災ポーチ中身
・パーソナルカード(名前や連絡先など災害時に必要な情報をまとめた紙)
・救急セット(絆創膏や常備薬)
・マスク
・ウエットティッシュ
・お菓子(飴や羊羹)
・ホイッスル
・生理用品や尿漏れパッド
・カイロ(冬)



私はこのように防災ポーチを作っています。濡れないように
ジップロックはおすすめですよ。


1次の備え【非常用持ち出しリュック】
緊急時に自宅からすぐ持ち出す最低限のもの。防水(撥水性)のものでリュックがおすすめです。
まずは災害が落ち着くまで、避難先で1〜2日程度、安全安心で過ごせる内容にします。
首相官邸HPの「災害の備えチェックリスト」でも推奨している内容が記載されてありますが、
こちらは一般的な中身になっています。これに加えて、シニア世代に必要なものもありますので、
中身については次の項の
防災グッズチェックリストでまとめてあります。
また、避難時の服装はできれば、動きやすい服(冬場であればスノーウエアだと防水で暖かいのでおすすめ)
ヘルメットと履き慣れた靴または安全靴で移動するとよいでしょう。
靴は、普段からすぐに履けるスニーカーを使用しているとより早く避難行動にうつせますよ。


2次の備え【備蓄】
避難先での生活が長期化する場合に自宅から持ち出すもの、
または自宅の倒壊がなくライフラインが絶たれた状態での在宅避難のために必要なもの。
自宅が倒壊しても、備蓄したものが無事取り出せるよう
頑丈な収納ボックスに用意し、玄関付近や庭付近など、直射日光を避けてすぐに取り出しやすい場所に保管しておくことをおすすめします。



家が壊れて、中に入れず備蓄が取れないって話もよく聞いたよ
備蓄は最低でも3日分となっていますが、7日間分は備えておきましょう。
備蓄量の目安としては家族分×7日間です。
以下は基本的な備蓄内容です。
- 保存水(大人1人あたり1日約3リットル)
- 保存食1日3食分×家族分(主食・タンパク質の組み合わせが望ましい)
- くだもの缶5缶程度
- 簡易トイレ 1人35回分(7日間)×家族分
- マスク7枚×家族分
- ウエットボディタオル1人7枚×家族分
- 歯磨きシート1人最低7枚×家族分
そのほか、必要な備蓄は
- カセットコンロとカセットガス
- 手回し充電式ラジオ
- 軍手
- トイレットペーパー、ティッシュ
- ヘッドライト
- ランタン
- 乾電池
- ラップ・アルミホイル
- 携帯充電器
- 生理用品、成人用オムツ、尿パッド
- ポリ袋(アイラップなど耐熱のある袋は調理に使えるのでおすすめ)
- 給水を入れるためのウォーターバッグ
また、最近ではソーラー充電もできるポータブル電源もあります。アウトドアはもちろん、台風の停電時や節約でも使用する人も増えています。


実際に使ってみて、防災グッズの再確認
防災リュックは体に合っていますか?
・肩が痛くないか ・避難先まで歩ける程度の重さか ・夜道でも見える反射板ついているか
食料品は賞味期限は大丈夫ですか?口に合いますか?
食べ慣れていないもの、お口に合わないものはかえってストレスになることもあります。
簡易トイレなどの防災グッズの使い方わかっていますか?
キャンプなどで練習として使ってみるのも防災訓練になるのでおすすめです。
60代以降におすすめしたい防災リュックの中身チェックリスト


60代以降向け非常用持ち出し防災バックの中身
- 保存水 500ml×3本 (長期保存水だともっと良い)
- 非常食×3食分(匂いの少ないもの)
- 羊羹やあめなどの甘味(匂いの出ない長期保存可能なもの)
- タオル(圧縮されたもの)
- レインコート
- 着替え1式(最低1着)
- マスク
- ウエットティッシュ/アルコールティッシュ
- 絆創膏、常備薬(自分で管理できない場合は投薬のメモ紙も)
- 懐中電灯(カバンの外側にキーホルダーとしてつけると楽)
- ビニール袋 大・小 2袋づつ
- 携帯簡易トイレ
- 歯磨きシート
- 汗拭きシート
- メモ帳と油性ペン
- エアマット、アルミブランケット、カイロ
- 防災ヘルメット
- メガネ、老眼鏡
- 入れ歯洗浄剤
最近では、転がせるタイヤがついたリュックもありますので、そちらを購入して中身をいれていくのも良いでしょう。
転がせるタイヤ付きのリュックの中身まで全て揃ったセットもあります。
60代以降におすすめしたい絶対に準備しておいてほしいもの
シニア世代は、普段健康な人でも、やはり基礎体力が2〜30代とは違います。
災害時にはいつも以上に体力を奪われることも多く、足腰を痛めることも予想されます。
災害時に注意が必要な場面として
①給水時に並ぶとき、運ぶ時
水は生活に欠かせないものですが、頻繁に運ぶとなると疲れるし、一気に運ぶのは体力がいりますね。
そういうことを想定し、キャリーカーなどの運搬用のワゴン車があると安心です。




②避難所で寝る時
避難所では寝床が硬く、体に合わずに腰を痛めたりします。とくに60代以降は体の柔軟性も落ちており、子どもと違い体を動かすことも少なくなるため、体を痛めやすく要注意です。
避難バックにエアマットを用意しておくと安心です。
安眠セットであれば、安価でコンパクトながらも、安眠に必要なグッズがそろっており、
持ち運びにおすすめです。


③感染症対策
過去の大きな災害でも、避難所での感染症が広がり、それにより亡くなった方も少なくありません。
消毒用アルコール、マスク、
また、怪我をしたところからの感染を防げるよう、絆創膏などを用意しておきましょう。
歯磨きシートもとても大切です。
長い間、口腔が汚れていると、肺炎を起こすことがあります。
肺炎予防にお口の中の清潔を保つことは必須なことです。
高齢者にもおすすめしている成人用オムツ、尿とりパッドですが
60代以降でも用意していると、トイレや水を我慢することがなくなるため、
脱水症や、膀胱炎などの病気を防ぐことが可能です。
後期高齢者など、要介護者がいる場合に必要な防災グッズ
上で紹介したように、60代以降向けに必要なグッズに加えて、高齢者や要介護者がいる場合におすすめしている防災グッズです。
①折りたたみ杖
普段元気な高齢者でも、高齢者は急に弱ってあるけなくなったり、少しの痛みでもバランスを崩しやすく、転倒の危険性が高くなります。転倒すると骨折など二次被害の恐れもあるのでぜひ予防したいところです。
最近では、ライト付きの杖があるので夜間でも安心です。
②成人用オムツや尿取りパッド
こちらは普段使いしていなければ使用するのに抵抗があるものかと思います。
しかし、災害時にはそうも言ってられません。
高齢者はトイレを我慢する傾向があります。歩けなくて行けないということもありますし、面倒だから、頻尿だから、と理由はさまざまです。
トイレを我慢するために水を飲まないという行動もよく見られます。
水を飲まない→脱水、熱中症の危険性
トイレを我慢する→膀胱炎や尿路感染症の危険性
このように災害時では、不衛生がもたらす病気が蔓延します。
また、病気が発生しても受診したり薬がすぐに手に入るわけでもありません。
オムツや尿取りパッドを適切に使用することで、トイレを我慢せず無理なく衛生面を保つことができます。
③カイロを多めに準備する
冬だけ必要なカイロと思っていませんか?
高齢者の場合は年中寒いと感じる方も少なくありません。
精神的に不安定な中で、寒さを感じると、大きなストレスになります。
カイロを持っていると、暖かさを感じられるため、少し心もホッとするのではないでしょうか。
また、カイロの暖かさはホットパックのような役割をもっており、筋肉の凝りや、慢性的な腰痛などにも効きます。使い道はたくさんあります。
避難先でも防災・防犯に注意!60代以降に気をつけてほしいこと


信じられない話ですが、避難先での性被害はよく聞く話です。過去にも多くの女性が危険な目に遭っています。
- 物資の見返りに性的要求があった
- 1人でトイレに行って被害にあった
- 避難先で寝ているときに布団に入ってきた
- 1人で移動中に物陰に引っ張られて被害にあった
- 1人でいるところ、物資や金品を奪われた
「もう年だからそんなことはない」「綺麗じゃないからそれはない」
これこそ、冒頭で話した【正常性バイアス】です。
実は過去には60代以上でも被害に遭っているかたも少なくありません。
避難先では絶対に1人にならないこと、1人にしないことを頭に入れておいてください。
また、性被害だけでなく、高齢者などは強盗に遭いやすいこともあります。
1人でいることがないよう、気を付けてください。
60代からの防災まとめ
いかがでしたか?
思っているよりも備える準備がたくさんあることがわかったと思います。
その人により必要なものが増えたり減ったりすることもあるかと思います。
今一度、家族で話し合ったり防災への意識を高めるきっかけになれれば幸いです。
一つ一つ自分で用意していくことが理想ではありますが、
家族分など、全部を用意するのは大変かと思います。
そんなときには必要な防災グッズがすべて揃った非常用持ちだしバックを準備しておくと良いでしょう。